グローバル変革元年

ここ数年の間で、製造業に求められるグローバル化の性質が大きく変わってきている。まず決定的な違いとなっているのが、先進国だけを市場とするビジネスでは立ちゆかなくなってきている点だ。これまで、多くの日本の製造業は、国内(あるいはアジア)で高機能・高付加価値の製品を生産し、欧米を中心とした先進国に向けて高価格で販売していくことをビジネスの主なテーマに掲げてきた。しかし、中国をはじめとする新興国の台頭によりその状況が一変。高付加価値製品を先進国に提供する一方で、需要が旺盛なアジアをはじめとする新興国市場に向けて、より低価格なボリュームゾーン製品を積極的に展開していくことが、今後の成長を描く上で重要なポイントとなっているのだ。その実現に向けては、先進国市場向けの組織・拠点、製品開発を新興国市場に変更するなど、組織の大幅な変革が求められるだろう。

 もちろん変革すべきなのは組織だけではない。業務プロセスも同様だ。これまでのように各製品の事業部を単位として、「販売」「調達」「生産」といったプロセスをバラバラに展開している状態から、全社的に最適化されたグローバルオペレーション(世界一体製販活動)の確立を念頭に標準化、共通化されたプロセスを複数の国を横断するかたちで一体化させながら展開していくことが不可欠となる。