中国ビジネス再考

今、もっともホットなビジネスの一つは、『中国進出支援』である。

日本の中小企業の生き残りをかけた市場開拓をテーマに、中国進出をすでに果たしている日本企業が、まだ、中国進出を果たせていない企業に対して、中国進出支援を行うケースが増えてきている。また、インターネット上でも、中国進出を支援を呼びかけるサイトが非常に増えている。『中国市場で物を売る!』をテーマに、インターネットショッピングモールを運営する最大手、 『楽天』と『YAHOO』との一騎打ちが始まっている。楽天は、中国最大の検索エンジンである百度と手を組み、YAHOOは、中国最大のECサイトであるTAOBAO(陶宝)と手を組んで、日本企業の中国進出の支援をしている。この動きに、中国政府も非常に敏感に反応している。当初は、日本からEMS(国際郵便)を使って中国に個人輸入という形で、商品を送って販売するビジネスモデルを提唱してい

たが、このことに対して、中国側では、規制をかけはじめた。本来、EMSで個人使用を目的にする商品は、アメリカドルで50ドル(約4300円)以下の商品に関しては、関税をかけないという方針であったが、そのハードルを一気に下げ、今年の9月からは、50人民元(約700円)以上の商品に関しては、個人使用を目的にしていても関税をかけるという方針に変わった。
政府関係者からの話では、『海外から中国にEMSを使って商品を送りこまれるのは、空爆を受けているような気分である。』と述べていた。
中国では、正式通関する場合には、日本の消費税あたる増値税が17%で、化粧品などの贅沢品に関しては、50%近い関税をかけている場合もある。EMSで個人荷物として中国国内に送られることが激増し、増値税と関税を支払わないで中国国内に商品が送られるケースが急増した。そのことを危惧し、税に関する
最低ハードルを一気に引き下げたと見られる。
インターネットを通じて、海外の商品を簡単に買える時代になったことで、中国でも若い世代を中心に個人輸入というものを意識しはじめた。しかし、この流れに、ブレーキをかける政策をとったことは、正式通関を行って輸入している業者からの反発などを考慮して、関税のハードルを下げる政策がとられたことが考えられる。

中国では、中国国内で商品販売する場合には、どんな場合にしろ、法人を持つことを義務付けられている。また、インターネットを用いて販売する場合には、中国では、『電子商務』という営業権が必要になる。しかし、電子商務という営業権は、基本的には、外資企業では取得困難である。行政指導により、外資が、中国国内でインターネット販売を自由に行なうことを規制しているのである。

しかし、現実問題、中国で日本企業がインターネット販売を行なっているケースがある。外資の規制業種であっても、中国の内資企業であるならば、インターネット販売は、規制対象にはなっていない。この秋口から『中国楽天』が出店に関する説明会を中国の主要都市で行っていたが、出店条件は、『中国で法人を持っていること』が条件である規定していた。しかし、問題は、外資企業におけるインターネット販売を規制していることを考えても、中国系企業の協力を得なければ、法的に正しいインターネット販売ビジネスを営むことが出来ないのである。

そこで、今、非常に注目されている中国法人の登記方法であるが、中国人投資の会社であっても、法人代表が外国人名義(日本人)という法人登記の方法がある。中国内資系企業の唯一の問題点は、人民元で得た利益を、海外に送り出したいと思って、それが出来ないことである。
ものは考えようであるが、中国国内で得た利益を、中国国内で貯蓄、還元するという考えであるならば、内資系の外国法人代表の法人というものは、非常に使えるのである。
内資系企業であるので上海で法人登記する場合も、資本金が10万元(130万円)から可能である。ちなみに、外資では14万ドル(約1200万円)の投資が必要になる。資本金のハードルも低いのである。

中国で起業して、中国市場を開拓していきたい。インターネットでB TO C ビジネスを行いたいという企業は、内資系外国法人企業を選択するケースが増えている。条件は、中国人のパートナーが1名必要になることである。
中国で商売をする上で、中国人の友人がなければ、とても、外国人だけではできない。中国でビジネスをするには、現地のパートナーが居て、成立できるといえる。また、資本金と登記費用などを合わせても、300万円ほどで起業資金が間に合う。一般的に、プチ起業を考えている日本の個人、中小企業の予算は、300万円〜500万円というのが非常に多い。金額的にも、マッチしている。そのことを考慮しても、中国で起業するという点で、このようなビジネス形式が今度、益々普及すると見ている。